圧搾場
こちらにあるのは、新石器時代(バスク地方では約3千年前)のリンゴの圧搾機です。この圧搾場でのすべてのリンゴ酒製造の工程は手作業で行われました。ピソンという棒で潰したリンゴを圧搾場の中央に置き、石の重さによって生じるテコの原理を利用して、何本もの木の棒でリンゴを圧搾します。
こちらの圧搾機は最初に造られたタイプですが、それ以降バスク地方では他のタイプの圧搾機も造られました。
1)長い木材を使用した圧搾機:16~17世紀に造られました。農家の建物のほぼ全部を圧搾場が占めるタイプで、”Caserío lagar”(圧搾場のある農家)として知られています。エスキオ・イツァソ村にあるカセリオ・イガルトゥベイティ博物館の圧搾機は、まさにこのタイプです。
2)回転軸を使用した圧搾機:17世紀に造られました。木でできた数本の回転軸を使って圧搾します。アリスクン村にあるカセリオ・ガミオシャレアの圧搾機はこのタイプのものです。
3)鉄の軸を使用した圧搾機:19世紀に造られました。鉄製の軸を使って圧搾します。サン・セバスティアンにあるカセリオ・カチョラの圧搾機はこのタイプのものです。
現在、リンゴ酒醸造所では、空気圧式圧搾機を使ってリンゴ酒を製造しています。
バスクの打楽器チャラパルタの起源は、リンゴ酒の文化と深いつながりがあることをご存知でしょうか?リンゴの圧搾作業が終了したので皆でその果汁を飲むために集まるよう、一連の作業に関わった全ての人にチャラパルタの音色で知らせていました。
こちらの動画では、バスクの農家博物館「カセリオ・イガルトゥベイティ」でのリンゴ酒の醸造の工程をご覧いただけます。
キリコケタのリズムに合わせて!
「キリコケタ」というユニークなフレーズは、リンゴ酒を醸造する際、ピソンという棒でリンゴを潰すところからきました。醸造に参加する人たちはリンゴを潰しながらバスク語で次のように歌いました。
「キリコケタ、キリコケタ、キリコケタ、コケタ、コケタ、サガラ ホ デラ、サガラ ホ デラ、サガラ ホ デラ、ホ デラ、ホ デラ」ぜひ圧搾場まで降りて「キリコケタ」の音声を聴きながら、ピソンという棒を使ってキリコケタ(リンゴ潰し)体験をしてみてください。キリコケタのリズムに合わせることをお忘れなく!
圧搾機